この単元のつまずきポイント
中身が負のとき符号を反転させる理由を理解せず、機械的に外して解の片方を落とす。最後に数直線で範囲をまとめる手順を省くため、AND/ORを取り違える生徒が多いです。
このテーマで実際に生成した教材
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高校数学Iで登場する「絶対値を含む不等式」は、多くの生徒が苦手と感じる単元の一つです。特に「場合分け」の考え方は、この単元だけでなく、今後の数学の学習においても非常に重要になります。ここでは、絶対値の定義から丁寧に解説し、場合分けが必要なケースとその具体的な手順を学びましょう。
1. 絶対値とは?
まず、絶対値の定義を再確認しましょう。
絶対値の定義
数 $a$ の絶対値 $|a|$ とは、数直線上において原点 $0$ から $a$ までの距離を表します。
この定義から、次の性質が導かれます。
- $a \ge 0$ のとき、$|a| = a$
- $a < 0$ のとき、$|a| = -a$
例えば、$|5| = 5$ ですし、$|-3| = -(-3) = 3$ となります。距離なので、絶対値は常に $0$ 以上になります。
2. 絶対値を含む不等式の基本的な性質
絶対値を含む不等式は、その形によって場合分けをせずに解ける場合があります。これは、絶対値の定義を数直線上で考えることで理解できます。
性質1: $|x| < a$ ($a>0$) の場合
$|x| < a$ は、「原点 $0$ から $x$ までの距離が $a$ より小さい」ことを意味します。数直線で考えると、$x$ は $-a$ と $a$ の間に存在します。
$$|x| < a \iff -a < x < a$$
性質2: $|x| > a$ ($a>0$) の場合
$|x| > a$ は、「原点 $0$ から $x$ までの距離が $a$ より大きい」ことを意味します。数直線で考えると、$x$ は $-a$ より小さいか、$a$ より大きいかのどちらかになります。
$$|x| > a \iff x < -a \text{ または } x > a$$
注意点
これらの性質が使えるのは、絶対値記号の中が $x$ の一次式で、右辺が定数(文字を含まない数)の場合です。右辺に文字が含まれる場合は、これらの性質をそのまま使うことはできません。
3. 場合分けが必要なケースとその手順
絶対値記号の中に文字式があり、かつ右辺にも文字が含まれる場合や、複数の絶対値記号がある場合は、場合分けをして絶対値記号を外す必要があります。
場合分けの基本方針
絶対値の中の式が $0$ 以上になるか、負になるかで場合分けをします。なぜなら、絶対値の定義 $|a| = a$ ( $a \ge 0$ のとき) と $|a| = -a$ ($a < 0$ のとき) に従い、絶対値記号を外す必要があるからです。
手順
- 場合分けの基準となる点を求める: 絶対値記号の中の式が $0$ になる $x$ の値を求めます。この点が数直線を区切る境界点になります。
- 数直線を区間に分ける: 求めた境界点によって数直線をいくつかの区間に分けます。
- 各区間で絶対値を外して不等式を解く: 各区間で、絶対値の中の式の正負を判断し、絶対値記号を外します。その後、与えられた不等式を解きます。
- 各区間の解と条件の共通範囲を求める: 手順3で得られた解が、その区間の条件(例えば $x \ge 2$ など)を満たしているかを確認し、両方の条件を満たす範囲(共通範囲)を求めます。
- すべての区間の共通範囲を統合する: 手順4で求めたすべての区間の共通範囲を合わせることで、最終的な解が得られます。
具体例1: 右辺が定数の場合(場合分けの練習)
問題: $|x-2| < 3$
【解法1: 性質を利用】
この問題は、先ほどの性質1 ($|X| < a \iff -a < X < a$) を利用できます。ここで $X = x-2$, $a = 3$ と考えます。
$$-3 < x-2 < 3$$
各辺に $2$ を加えます。
$$-3+2 < x-2+2 < 3+2$$
$$-1 < x < 5$$
【解法2: 場合分けを利用】
練習のために、この問題も場合分けで解いてみましょう。
- 場合分けの基準: 絶対値の中の式 $x-2$ が $0$ になるのは $x-2=0$ つまり $x=2$ のときです。
- 区間に分ける: 数直線を $x<2$ と $x \ge 2$ の2つの区間に分けます。
* ケース1: $x < 2$ のとき
$x-2$ は負の値になります。したがって、$|x-2| = -(x-2)$ となります。
$$-(x-2) < 3$$
$$-x+2 < 3$$
$$-x < 1$$
$$x > -1$$
このケースの条件は $x < 2$ です。解 $x > -1$ と条件 $x < 2$ の共通範囲は、$-1 < x < 2$ です。
* ケース2: $x \ge 2$ のとき
$x-2$ は $0$ 以上の値になります。したがって、$|x-2| = x-2$ となります。
$$x-2 < 3$$
$$x < 5$$
このケースの条件は $x \ge 2$ です。解 $x < 5$ と条件 $x \ge 2$ の共通範囲は、$2 \le x < 5$ です。
- 共通範囲を統合: 各ケースで求めた共通範囲を合わせます。
$-1 < x < 2$ と $2 \le x < 5$ を合わせると、$-1 < x < 5$ となります。これは性質を利用した解法と一致します。
具体例2: 右辺に文字が含まれる場合
問題: $|x-1| < 2x+1$
この問題は、右辺に $x$ が含まれているため、性質を直接使うことはできません。場合分けが必要です。
- 場合分けの基準: 絶対値の中の式 $x-1$ が $0$ になるのは $x-1=0$ つまり $x=1$ のときです。
- 区間に分ける: 数直線を $x<1$ と $x \ge 1$ の2つの区間に分けます。
* ケース1: $x < 1$ のとき
$x-1$ は負の値になります。したがって、$|x-1| = -(x-1)$ となります。
$$-(x-1) < 2x+1$$
$$-x+1 < 2x+1$$
$$-3x < 0$$
$$x > 0$$
このケースの条件は $x < 1$ です。解 $x > 0$ と条件 $x < 1$ の共通範囲は、$0 < x < 1$ です。
* ケース2: $x \ge 1$ のとき
$x-1$ は $0$ 以上の値になります。したがって、$|x-1| = x-1$ となります。
$$x-1 < 2x+1$$
$$-x < 2$$
$$x > -2$$
このケースの条件は $x \ge 1$ です。解 $x > -2$ と条件 $x \ge 1$ の共通範囲は、$x \ge 1$ です。
- 共通範囲を統合: 各ケースで求めた共通範囲を合わせます。
$0 < x < 1$ と $x \ge 1$ を合わせると、$0 < x$ となります。したがって、最終的な解は $x > 0$ です。
具体例3: 複数の絶対値がある場合
問題: $|x-1| + |x+2| < 5$
複数の絶対値がある場合も、基本方針は同じです。すべての絶対値の中の式が $0$ になる点を基準に場合分けをします。
- 場合分けの基準:
* $x-1=0 \implies x=1$
* $x+2=0 \implies x=-2$
- 区間に分ける: 基準となる点 $x=-2$ と $x=1$ を使って、数直線を3つの区間に分けます。
* $x < -2$
* $-2 \le x < 1$
* $x \ge 1$
* ケース1: $x < -2$ のとき
この区間では、$x-1$ は負、$x+2$ も負になります。
$|x-1| = -(x-1)$
$|x+2| = -(x+2)$
不等式は次のようになります。
$$-(x-1) + (-(x+2)) < 5$$
$$-x+1-x-2 < 5$$
$$-2x-1 < 5$$
$$-2x < 6$$
$$x > -3$$
このケースの条件は $x < -2$ です。解 $x > -3$ と条件 $x < -2$ の共通範囲は、$-3 < x < -2$ です。
* ケース2: $-2 \le x < 1$ のとき
この区間では、$x-1$ は負、$x+2$ は $0$ 以上になります。
$|x-1| = -(x-1)$
$|x+2| = x+2$
不等式は次のようになります。
$$-(x-1) + (x+2) < 5$$
$$-x+1+x+2 < 5$$
$$3 < 5$$
これは常に成り立つ不等式です。したがって、このケースの条件である $-2 \le x < 1$ の範囲すべてが解となります。
共通範囲は、$-2 \le x < 1$ です。
* ケース3: $x \ge 1$ のとき
この区間では、$x-1$ は $0$ 以上、$x+2$ も $0$ 以上になります。
$|x-1| = x-1$
$|x+2| = x+2$
不等式は次のようになります。
$$(x-1) + (x+2) < 5$$
$$2x+1 < 5$$
$$2x < 4$$
$$x < 2$$
このケースの条件は $x \ge 1$ です。解 $x < 2$ と条件 $x \ge 1$ の共通範囲は、$1 \le x < 2$ です。
- 共通範囲を統合: 各ケースで求めた共通範囲を合わせます。
$-3 < x < -2$
$-2 \le x < 1$
$1 \le x < 2$
これらをすべて合わせると、$-3 < x < 2$ となります。
4. まとめと学習のポイント
- 絶対値の定義を理解する: $|a|$ は原点からの距離であり、$a \ge 0$ なら $a$、$a < 0$ なら $-a$ となることを常に意識しましょう。
- 基本的な性質を使いこなす: $|x| < a \iff -a < x < a$ や $|x| > a \iff x < -a \text{ または } x > a$ は非常に便利です。右辺が定数の場合は積極的に利用しましょう。
- 場合分けの基準を明確にする: 絶対値の中の式が $0$ になる点が、場合分けの境界点です。複数の絶対値がある場合は、すべての $0$ になる点を基準に数直線を区切りましょう。
- 各区間の「共通範囲」を忘れない: 各区間で不等式を解いた後、その解と、その区間の条件(例えば $x \ge 1$ など)の共通範囲を求めることが最も重要です。これが抜けると間違った答えになります。
- 最終的な解は「統合」する: 各区間で求めた共通範囲をすべて合わせることで、最終的な解が得られます。数直線を使って視覚的に確認すると間違いが減ります。
絶対値の不等式は、高校数学の基礎となる重要な概念です。繰り返し練習して、自信を持って解けるようになりましょう。
編集・参照情報
- 編集・運営: かわさき楽AIサポート(株式会社スマイルファクトリー)
- 作成方法: 学習指導要領データを検索し、AI生成教材を編集して掲載
- 参照範囲: 学習指導要領
- 公開日: 2026年6月7日
この教材の使い方
保護者の方は、解答の正誤を採点するよりも、お子さんの隣で数直線を一緒に描いてみてください。「原点からの距離」という絶対値の定義に立ち返り、$|x|<a$ や $|x|>a$ がどの範囲を指すのかを、お子さん自身の言葉で説明してもらうのが定着への近道です。
塾講師の方は、いきなり場合分けの手順を教えるのではなく、まず $|5|$ や $|-3|$ といった具体例で「絶対値は常に0以上」という性質を確認させましょう。そのうえで $a\ge0$ と $a<0$ の二つの定義に分かれる必然性を生徒に言語化させると、後の場合分けがスムーズになります。
生徒本人が一人で取り組む場合は、性質1と性質2の不等式を丸暗記するのではなく、毎回数直線を描いて確認する習慣をつけてください。「どこからどこまでが解か」を図で示せるようになれば、応用問題で式の形が変わっても自力で対応できる力が身につきます。
よくある質問
絶対値の不等式は高校1年のいつ頃に学校で扱う単元ですか?
多くの高校では数学Iの「数と式」の単元で、入学後の比較的早い時期に学習します。学校や教科書によって進度が異なりますので、詳しい時期は学校の先生にご確認ください。
うちの子は「場合分け」で必ずつまずきます。どう声かけすればよいですか?
場合分けは絶対値の定義($a \ge 0$か$a<0$か)を一つずつ確認する作業です。「中身がプラスならどう?マイナスならどう?」と問いかけ、定義に立ち返らせる声かけが有効と考えられます。
家庭学習では性質を使う解法と場合分けのどちらを優先すべきですか?
右辺が定数なら性質を使う解法、右辺に文字を含む場合は場合分け、と使い分けるのが基本です。どちらを重視するかはご家庭の判断で、まず教科書の例題から取り組むことをおすすめします。